初心者向きは嘘 !? 型抜きクッキーの失敗しないコツを10回練習した私が教えます  

はじめて型抜きクッキー作りに挑戦したとき、以下のような失敗の経験はないでしょうか?

「表面にヒビが入ってしまう…」
「クッキーがカチカチに固くなってしまった」
「焼き上がりで、膨らんで形がくずれた」

実は、型抜きクッキーのその簡単そうなイメージとはうらはらに、初心者なら誰もがやってしまいがちなミスがあるのです。

そんな失敗を避けるために、みなさんと同じ初心者の筆者がお菓子屋さんからアドバイスをもらいつつ、失敗しないコツを意識して実際に型抜きクッキーを10回作って練習しました。

この記事では以下の内容について、筆者の実演をまじえて紹介します。

  • 型抜きクッキーでよくある2つの失敗例と原因
  • 失敗を回避する型抜きクッキーのコツ2選
  • 【レシピ】失敗しないコツを意識した型抜きクッキー
  • 型抜きクッキーのコツを意識する前と後で比較検証

最短ルートで綺麗な型抜きクッキーをつくるために、ぜひ最後までご覧ください!

型抜きクッキーでよくある2つの失敗例と原因

【失敗例①】 

食感が固くなる 

《原因》 生地を練ることによりグルテンの不要な弾力性が発生している

【失敗例②】 

形がくずれる 

《原因》 生地内のバターが溶けて生地がダレている

1.【失敗例】食感が固くなる  /【原因】生地を練ることによりグルテンの不要な弾力性が発生している

型抜きクッキ-は生地を混ぜるときに練ってしまうと、小麦粉に含まれる※グルテンが過剰反応することで、生地に不要な弾力性が生まれます。

この状態で焼き上げてしまうことにより、食感がカチカチのクッキーになるのです。

混ぜ方のコツとして、レシピ本などでは粉類を混ぜる説明でよく「切るように混ぜる」という表現がされています。

しかし、混ぜはじめの生地がぱらぱらで、まとまるまで時間もかかることから、初心者はどうにか生地をまとめようとして練って混ぜてしまいがちです。

粉っぽい生地がきちんとまとまるのか不安になってしまい、練ってしまうことが主な原因のようですね。

まずは「練らない」ということを意識することがサクサク食感を実現する第一歩といえるでしょう。

グルテン…小麦粉に含まれるタンパク質で、水と合わさることにより弾力性が発生する。

2.【失敗例】形がくずれる  /【原因】生地内のバターが溶けて生地がダレている

生地を型抜きしてからオーブンで焼き上げる前に、生地の温度が上がり過ぎると内部のバターが溶けてしまいます。この状態を「生地がダレる」といいます。

型抜きクッキーの場合、ほかのクッキーと違って1度生地がダレると、焼き上がり中に綺麗な角のあるクッキー型のシルエットを維持できず、形がくずれてしまいます。

ただ、初心者の人が生地の温度に注意しながら、スムーズに工程を進めるのは少し難易度が高いために、生地がダレることが多いようです。

クッキーの生地を焼き上げるまでは、内部のバターを溶かさないように生地自体の温度管理の意識を持ちましょう。

型抜きクッキーでよくある失敗を避けるコツ2選

失敗しないコツ2選

【コツ①】数字の「1」をイメージして根気強く切るように混ぜる

【コツ②】完成した生地に触りすぎないようにして冷蔵庫で一晩寝かせる

【コツ①】数字の「1」をイメージして根気強く切るように混ぜる

失敗例と原因
【失敗例】
食感が固くなる
【原因】
生地を練ることによりグルテンが過剰反応している
失敗を避けるコツ
数字の「1」の字を意識して切るように混ぜる。
生地は少しずつまとまるので、約4分間混ぜながら生地が7〜8割ほどまとまればOK。

【ポイント】

  • 最初は生地もぱらぱらでまとまるまで時間がかかっても、不安にらなず練らない我慢が大切。
  • まとまり始めても混ぜ続けるとグルテンの発生につながるので、7~8まとまった状態が手を止めるタイミング。
  • ゴムベラは芯が硬いものを使う。100均などの安価なものは逆に難易度が上がるのでなるべく使わない。

【状態が良い生地の目安】

  • 手で触っても何もつかなければOK。生地がぬるくなって柔らかい状態だとお餅のように手にくっついてしまう。

先述の通り、生地を混ぜている間はまとまるのか心配でどうしても練りたくなりますが、根気よく「1」の字をイメージしながら切るように混ぜる動作を続けましょう。

また、このコツを使っても少なからずグルテンが発生しますが、次に紹介する【コツ②】の冷蔵庫で寝かせることで、最小限におさえられます。

【コツ②】完成した生地に触りすぎないようにして冷蔵庫で一晩寝かせる

失敗例と原因
【失敗例】
形がくずれる
【原因】
生地がダレている
失敗を避けるコツ
生地ができたら、触れすぎないように手早くラップで包み、冷蔵庫で一晩寝かせる。
※急ぐ場合は、最低でも1時間寝かせる。
不安な場合は、必要に応じて手順を踏むごとに生地を冷やす。

【ポイント】

  • 生地自体が常温より冷えた状態を維持する。
  • 必要以上に生地を触らない
  • 手順ごとに生地を冷やすタイミング必要に応じて行う。
    • 生地を作ったあと
    • 生地を伸ばしたあと
    • 生地を伸ばしたときにちぎれたとき
    • うまく型抜きできないとき
    • 型抜きをして焼き上げる直前 

【うまく焼き上がった型抜きクッキーの目安】

  • クッキーのサイズや厚みが型抜き後の生の生地と、焼き上がり後でほとんど変っていない。

重要なポイントは、最初に生地を混ぜて焼き上げるまで、いかに生地の温度を上げないように工夫するかです。

また、冷蔵庫で最低でも1時間寝かせる理由は、ひび割れや膨らみの原因にもなるグルテンを落ち着かせる効果もあるからです。

グルテンの特性として、冷やし始めの1時間で弾性が一気におさまるので、必ず1時間は寝かせましょう。

型抜きクッキーのコツの有無で効果を実証 

食感について

断面の比較

【食感のレポート】

コツを使わなかったクッキーは、噛むのにすこし力が必要でバリバリとしており、コツを使ったクッキーは、サクサクと軽い食感でした。

クッキーを割るときにも違いがあり、コツを使わなかったクッキーは手を使っても固く、綺麗に割るのに苦労するほどでした。

形について

表面のひび割れ型崩れの比較
厚みの比較

【形のレポート】

コツを使わなかったクッキーは表面がボコボコとひび割れており、焼き上がりで形がくずれて形状や厚みに大きな差があらわれました。

【レシピ】失敗しないコツを意識した型抜きクッキーの作り方

筆者はこの失敗しないコツをふまえたレシピで、型抜きクッキーを10回作って練習しました。

回数を積むごとに生地の混ぜ具合や適温がつかめてくるので、まずはお菓子作りに慣れるところから始めましょう。

失敗を重ねた分、上手に焼き上げられたときのよろこびは別格です。

材料
  • 無塩バター:72.5g
  • 細目グラニュー糖:45g
  • 全卵(溶き卵):17g
  • 塩:ひとつまみ
  • 薄力粉:112g ※事前にふるっておく
  • アーモンドプードル:12g
  • バニラエッセンス:1滴
調理器具
  • ゴムべら
  • ボウル
  • めん棒
  • 粉ふるい
  • 製菓用シリコンマット
  • 計量器
  • クッキー型
  • 5mm厚の角材(割り箸で代用可)
  • 軽量スプーン
手順

① バターとグラニュー糖を混ぜる

② 卵液を加える

③ 塩・バニラエッセンスを加える

④ アーモンドプードルを加える

⑤ 薄力粉を加える

⑥ 生地を冷蔵庫で寝かせる

⑦ 生地を5mm厚に伸ばす

⑧ 生地を型抜きする

⑨ クッキーを焼き上げる

⑩ できあがり

以下が実演をまじえた手順の紹介です。


バターと砂糖を混ぜる
柔らかくしたバターと砂糖をゴムベラですり混ぜる。

《ポイント》
バターは室温に戻して、指で押してすこしへこむ
状態にしておく。
※150wで10秒きざみで温めてやわらかくする
方法もあります。

卵液を加える
卵液を2〜3回に分けて加えて、その都度よく混ぜる。

塩・バニラエッセンスを加える
塩を入れて混ぜたあとに、
バニラエッセンスを加えて混ぜる。

アーモンドプードルを加える
アーモンドプードルを加えて混ぜる。

薄力粉を加える
事前にふるった薄力粉を加えて切るように混ぜていく。
粉っぽさがなくなってきたら混ぜムラがないように
ボウルのふちにこすり付ける。

【失敗しないコツ①
・数字の「1」の字を意識して切るように混ぜる。
・5分以上混ぜながら、写真のように7〜8割ほど
 まとまればOK。

生地を冷蔵庫で寝かせる
ラップに包んで冷蔵庫で寝かせる。

【失敗しないコツ②
・触れすぎないように、手早くラップで包み
 冷蔵庫で1時間〜一晩寝かせる。
・不安な場合は、必要に応じて工程ごとに
 生地を冷やす。

生地を5mm厚に伸ばす
冷蔵庫から取り出した生地をめん棒と角材(5mm厚)
を使って5mmの厚さに伸ばす。
※角材(5mm厚)は割り箸でも代用可

《ポイント》
・5mmに伸ばす前に、生地を半分に折って伸ばす
 動作を2〜3回繰り返す。
⇒ 冷蔵庫から出した生地は、時間の経過で生地の
 中心と外側で温度差が出るので、生地全体の
 温度を均一にする必要があるため。

生地を型抜きする
打ち粉をして型抜きをしたら、製菓用シリコンマットの
上にならべて、冷蔵庫で30分以上冷やす。

【失敗しないコツ②
型抜きの工程で生地がダレるのを防ぐために
焼き上げ直前まで冷蔵庫で冷やす。

クッキーを焼き上げる
メッシュマットを敷いた天板に乗せて160℃に予熱した
オーブンで20分間焼き上げる。

《ポイント》
焼きムラがないように、10分後に天板を
180°回転させて残りの10分で焼き上げる。
※使用するオーブンにより温度や時間を
調整する必要があります。

できあがり
焼きたては高温なので、30分〜1時間冷ましましょう。

【番外編】Seria(セリア)で買えるかわいすぎるクッキー型3選

100円ショップのSeria(セリア)では、100均とは思えないような個性的なデザインのクッキー型が数多く展開されています。

その中から筆者がとくにおすすめする3種類を紹介します。

今回紹介した2つのコツを使えば、初心者でも以下のような複雑な形のクッキーも作れちゃいます!

1.【伝統おあそび】花札(猪鹿蝶)

2.【最古の漫画】鳥獣戯画(蛙と兎)

3.【グロ注意!?】臓器(脳みそ・腸)

1.【伝統おあそび】花札(猪鹿蝶)

花札の役の「猪鹿蝶」がデザインされた一品です。

100均でこのクオリティが再現できるのか!?と目を疑うほどお花や動物たちの形が細部まで作り込まれており、実物と遜色なく小さな札のなかに美しさが凝縮されています。

2.【最古の漫画】鳥獣戯画(蛙と兎)

日本最古の漫画といわれる「鳥獣戯画」に登場する兎と蛙がクッキー型になりました。

独特な兎と蛙のおもしろおかしい躍動感あふれる様子が、クッキーになると一気にかわいさが倍増します。鳥獣戯画の公式グッズを販売する高山寺の公認商品でもあります。

あまりにもデザインが良すぎたので、筆者は2種類とも買ってしまいました…!

3.【グロ注意!?】臓器(脳・腸)

まさかの、クッキーとは縁がなさそうな臓器がクッキーになりました。

ただ、臓器のクッキーは意外にもグロかわいい感じが表現されており、綺麗に作るほどリアルさが増すので、ハロウィンシーズンのユニークなお菓子のギフトにはぴったりですね!

今回サポートしていただいたお菓子屋さん「エスケープ」について 

1. エスケープについて

「エスケープ」の名はオーナーの趣味であるカフェや喫茶店巡りに由来します。オーナーにとってカフェや喫茶店は、日常を離れて「1人になれる心安らぐ空間」であるとのこと。

それと同じようにオーナー自身がカフェや喫茶店でゆったりと過ごしている時間をお菓子でも味わってもらいたい、という想いを大切にしているそうです。

合いことばは「ひっそりひそかなお菓子の時間」です。

また、エスケープは主に和歌山県で開催される※マルシェなどの、イベント出店を中心に営業しているお菓子屋さんです。

※マルシェ…地域の農産物やクリエイターによるハンドメイド雑貨が販売される場所として、不定期に開催される市場のこと。

2. オーナーの想い

エスケープのコンセプトは「ちょっぴりへんてこで日常に『クスッと』ハッピーになれるお菓子作り」です。

見た目はもちろんのこと、素材にもオリジナルの工夫がこらされており、ひとくち食べればその想いが感じられます。

シーズンごとに季節を感じられる限定メニューもあり、旬な材料を使ったケーキにも注目です。

また、出店時には画像のようにお菓子を陳列している器のデザインや小さなポップにも、オーナーのこだわりがあります。お店に遊びにいったときは、ぜひエスケープの世界観を楽しんでくださいね。

3. 看板メニュー「あ、クッキー」の魅力を紹介

「あ、クッキー」は、エスケープを代表する人気No.1の看板メニューです。

見つけると、思わず「あ、クッキー」といってしまうような、ユーモアとかわいさが合わさったクッキーです。ひらがなの「あ」で表現されているところに、絶大な親しみを感じますね。

そのままでもかわいい「あ、クッキー」は、手作りのギフトとしてもおすすめです。

たとえば、メッセージカードなどと組み合わせて「『あ』りがとう」「『あ』いしてます」のように文を作れば、大切な人への気持ちがまっすぐに伝わるでしょう。

ぜひ「あ、クッキー」でお気持ちを伝えてみてはいかがでしょうか。


実は「あ、クッキー」にちなんでオーナーの方は通称「『あ』の人」で知られています。エスケープを訪問の際はぜひ「例の『あ』の人ですよね??」と話しかけてみてくださいね。

Instagramのアカウントでは随時、出店情報が告知されるのでフォローをして楽しみに待ちましょう。

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