筆者がはじめて取得したTOEICスコアは415点で、それから独学で対策勉強してなんとか取得できたスコアは635点でした。
ただ、それ以降どんなに手を尽くしてもスコアが伸び悩んでしまい、600点前後で停滞する日々が続いていました…。
そんなとき、とある参考書で出会った「シャドーイング」という勉強法を、すがる思いで2ヶ月間必死に取り組んだ結果、100点以上スコアがアップして750点を取得できました。
結論、シャドーイングは英語学習において絶大な効果を発揮します。
シャドーイングをしてからは、まるでピントがズレていたカメラの焦点が一気に鮮明になったかのように、英語が理解できるようになりました。
この記事では実際にスコアアップした筆者の実体験をふまえて以下の内容を詳しく解説します。
- シャドーイングとは
- シャドーイングのメリット・デメリット
- リスニングが2ヶ月で爆伸びするシャドーイングのやり方
- 初心者が挫折しないシャドーイングのやり方
- おすすめな教材・選ぶポイント
ぜひ最後まで読んで実践して、その効果を実感してみましょう!
シャドーイングとは
シャドーイングは英語の音声を耳で聞きつつ、その英文を目で追いながら同じスピードで復唱する勉強法です。
いい換えると、英文を影のように追いながら耳、目、口を同時に使う勉強法です。
英語を理解する上で、耳と目を同時に使えばリスニングとリーディングが鍛えられ、続けるほどに自然と※ネイティブ英語の感覚に近づきます。
※ネイティブ英語 … 英語を母国語とする人が話す英語のこと。
必ずしも声を発する必要はなく、口パクでも問題ないのでマスクをしながら電車やカフェなど、どこでも実践できる手軽な勉強法でもあります。
筆者は大学の図書館でイヤホンとマスクをしながら、ひたすら口パクをしていました。
シャドーイングの5つのメリット
1. リスニングが向上する
2. リーディングが向上する
3. 語彙力・文法が定着しやすくなる
4. スピーキングが向上する
5. 総合的な英語スキルが向上する
1. リスニングが向上する
シャドーイングで最も磨かれる英語スキルはリスニングです。
英語が聞き取れない最大の原因は英語独特の発音や話すスピード感に慣れていないことで、理解するための情報処理に時間がかかってしまうところにあります。
日本語と同じように、英語を日常的にあたり前のものとして何度も耳にすれば、次第に英語の速度感がつかめてきて、自然と聞き取れるようになるでしょう。
2. リーディングが向上する
シャドーイングは音声のスピードに合わせて英文を読むので、必然的に英文の読解力も向上します。
シャドーイングをあきるほど繰り返せば、目で英文を速く読み上げる癖がつくので、音声なしで長文をただ読む場合でも、リスニングと同じ速度感で視線が文章を追うようになるでしょう。
その結果、読解力が向上するというわけです。
3. 語彙力・文法が定着しやすくなる
英語の処理速度を上げることがシャドーイングの主な目的ですが、その過程で語彙力と文法の知識の定着にもつながります。
シャドーイングは他の勉強法と異なって1度に多くの単語や表現に触れながら、耳でインプットして口でアウトプットすることで学習のサイクルを行います。
日常生活ではあまり使わない英語を、シャドーイングで擬似的に使うことで語彙力や英文法の知識が定着しやすくなるということですね。
ただ、シャドーイングのみで語彙力や英文法が身につくというわけではないので、前提として、基礎学習にきちんと取り組んでからシャドーイングに移りましょう。
4. スピーキングが向上する
英語の音声を口を動かして真似ることで英語の話し方が身につきます。
例えると、プロの声優の音声を聞きながら台本を読み上げている状態と同じで、スピーキング練習の面でも効果があります。
誰もが子供の頃に、大人が話すのを真似して少しずつ日本語の話し方を覚えていったのではないでしょうか。
正しい発音については個別で学ぶ必要がありますが、見よう見まねで話すだけでもスピーキングのリズムは十分につかめるでしょう。
5. 総合的な英語スキルが向上する
シャドーイングは体系的に英語スキルを磨けるので、全体的な基礎力が底上げされます。
先述したように多くの面で恩恵が得られるシャドーイングは英語を学ぶ上で、非常に大切な基礎学習といえるでしょう。
実は、シャドーイングはもともと通訳者の訓練方法のひとつでもあり、学習面でも効果の科学的根拠が証明されています。
まだシャドーイングをしたことがない人こそ、その効果を実感できるので、ぜひ積極的に取り組んでみてくださいね。
シャドーイングの3つのデメリット
1. すぐに効果を実感できない
2. 基礎学習なしではハードルが高い
3. 習慣化する必要がある
1. すぐに効果を実感できない
英語学習において大きな効果を得られるシャドーイングですが、その分、成果が出るまではどうしても時間がかかります。
体で感覚をつかむ勉強法なので、成果が目に見えないのが大変な部分ですが、諦めずにやり続けるのが肝心です。
シャドーイングの成果が現れるタイミングは、個人の勉強の方法によって差が生まれますが、筆者の場合は、シャドーイングをはじめて2ヶ月経った頃にはっきりと効果を実感しました。
それまでほとんど聞き取れなかった英語を鮮明に聞き取れていることに気づいたときは、この上なく嬉しかったのを覚えています。
2. 基礎学習なしではハードルが高い
シャドーイングの十分な効果を発揮するには、基礎レベルの英語スキルが必要です。
というのも、基礎的な英単語や文法を理解していないとそもそも英文が読めないからです。
具体的なレベルは読む文章によりますが、少なくとも中学や高校レベルの英単語と文法の知識があれば、最低限の内容がある英文が理解できるでしょう。
少しでも不安がある人は、あせらず基礎固めから取り組んで段階的にシャドーイングに挑戦してみましょう。
3. 習慣化する必要がある
ほとんどの学習において地道に継続することが大切ですが、シャドーイングはとくに習慣化が必要です。
時間をかけて感覚をつかむことで効果が発揮されるので、期間が空いたり途中でやり方を変えてしまうと、思うような結果が得られません。
自分に無理のない範囲で計画を立て、スケジュールアプリなどの通知機能を活用しながら単語学習のようにシャドーイングを毎日の習慣にしましょう。
リスニングが2ヶ月で爆伸びしたシャドーイングのやり方3ステップ
筆者は2ヶ月間シャドーイングをやり続けた結果、1度のTOEICテストで100点以上のスコアアップができました。
以下が当時の具体的なシャドーイングのやり方です。
- 事前に和訳と照らし合わせて、わからない単語にマークをする
- 最初のシャドーイングで英文に読みがなを付ける
- 一文につき40回シャドーイングを繰り返す
step1. 事前に和訳と照らし合わせて、わらない単語にマークをする
準備段階として、英文の内容を和訳で理解しつつ、わからない単語はマーカーを引いて意味を確認しておきます。
この事前準備をすることで英文を理解できなくても内容は理解している状態になり、スムーズに英文を読めるでしょう。
シャドーイングは、繰り返すことで次第に英語が理解できるようになるので、全文を読み切るための第一歩として、この下準備は非常に大切な工程です。
そのため、手を抜かずに丁寧に取り組みましょう。
step2. 最初のシャドーイングで英文に読みがなを付ける
下準備を終えたら、試しに1度シャドーイングして、少しでも読みにくいと感じた英文に下線を引き、カタカナで発音の読みがなを付けましょう。
例えば「schedule」の下に「セジュール」と書き込む感じです。これにより発音に対する違和感が解消されて、英文が読みやすくなります。
最もイメージしやすいのは、カラオケで洋楽を歌うときに英文の歌詞の上にカタカナで読みがなが振られていますが、それと同じようにすれば英文を読みやすくなりますよ。
この作業は英文を自分の中に落とし込むための第一歩となるので、少しでも違和感を感じる部分は積極的に読みがなを入れてくださいね。
step3. 一文につき40回シャドーイングを繰り返す
ここまでの行程を終えたら、いよいよ本番のシャドーイングです。
はじめは少しハードに感じるかも知れませんが、1つの英文につき40回シャドーイングしましょう。
1つの英文を飽きるほど聞けば、英文を見る必要がなくなって最終的に音声だけで意味が理解できる状態になります。
これは、単純にその1つの英文に慣れただけのように思えるかも知れませんが、多くの英文で同じように回数を重ねれば、英語を理解する基礎的な感覚を養うことにつながります。
英文によっては1セットにつき10分ほどで終わるので、自分に合ったレベルで、とにかく40回やり切りましょう。
筆者がシャドーイングを2ヶ月間やり続けた結果
筆者はこの3ステップに基づいて2ヶ月の間、毎日2時間のシャドーイングを行った結果、TOEICのスコアが100点以上アップしました。
読む文章や勉強時間は自分に合ったレベルでも問題ありませんが、最も重要なポイントは、シャドーイングの効果を実感するまで諦めないということです。
効果が発揮されるタイミングには個人差がありますが、それまで根気よくシャドーイングを継続しましょう。
筆者の場合、1ヶ月が経過した辺りから少しずつ「前よりも聞き取れるかも」と感じはじめて、その1ヶ月後には明確な自信がつきました。
シャドーイング初心者が挫折しないためのポイント2選
初めてのシャドーイングで挫折しないためのポイントは以下の2点です。
- 自分のレベルに合った英文を選ぶ
- 1つの教材に集中する
1. 自分のレベルに合った英文を選ぶ
はじめてのシャドーイングで、英文が自分のレベルより高いものを選んでしまうと、文章量の多さや内容の難しさから諦めてしまう可能性があります。
シャドーイング自体に慣れるのにも労力を使うので、英文のレベルは自分と同じか少し難しいくらいのものを選ぶのがベストです。
逆に簡単すぎる英文でもあまり成果が得られないので、試しに音声を聞いたり、英文を読んだりしてから問題がなさそうであれば、シャドーイングに挑戦しましょう。
2. 1つの教材に集中する
自分が使いやすいと思う教材で勉強するのが一番ですが、多くの媒体に手を出してしまうと教材ごとにやり方を変えたり、負担が増えて効率が悪くなってしまいます。
途中でやり方を変えたり、勉強の期間を空けてしまうと感覚にブレが生じて、シャドーイングの効果がうまく発揮されなくなってしまいます。
それゆえ、シャドーイングをする前の自身のレベルの理解や教材選びは慎重に行って学習計画を立てることが必要です。
筆者はTOEICのリスニングパートのPart3・4に特化した参考書のみで勉強していました。
シャドーイング初心者におすすめの教材3選
1. 音声付きのリスニングの参考書
引用元(“KADOKAWA新形式問題対応 改訂版 CD2枚付 世界一わかりやすい TOEICテストの授業[Part 1‐4 リスニング]”)
リスニングの参考書のほとんどに付録の音声があり、参考書に載っている原文を使えば、そのままシャドーイングができます。
筆者が使っていたのは画像にもある世界一わかりやすいTOEICテストの授業[Part 1-4 リスニング]というTOEIC対策に特化した参考書です。
こちらの参考書はシャドーイングをしながらTOEICの解き方のコツもまとめて学べるので、TOEIC受験を予定している人にはおすすめの一冊です。
筆者はこの参考書でシャドーイングをはじめて知り、TOEICの解き方のコツも非常に参考になったので、まさに「世界一わかりやすい」といえるほどでした!
2. 英語学習アプリ
引用元 (“abeed AI英語教材 abceed(エービーシード)”)
場所を選ばず、手軽さを意識したい人には英語学習アプリがおすすめです。
シンプルな機能の無料のものから、学習内容が充実した月額制のものまで種類が豊富にあるのが魅力のひとつです。
月額制アプリの中には、プロの講師から学習のフィードバックがもらえるカリキュラムもあり、1人での学習が不安な人には特におすすめですね。
3. 朗読音声付きの洋書
引用元 (“IBC PUBLISHING[日英対訳]ポジティブに生きるための名言100”)
学習用の教材ではありませんが、楽しみながらシャドーイングをしたい人には音声付きの洋書も教材として使えますよ。
有名な童話のほか海外の偉人や俳優達の名言などを、読み上げてくれるテキストが大型書店の洋書コーナーに数多く並んでいます。
自分が興味のあるジャンルでシャドーイングすることで内容も頭に入りやすく、自然と勉強を習慣化できるでしょう。